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【所縁の史跡】大依羅神社(大阪府)

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  ■ 大依羅神社  [地図] 大阪府大阪市住吉区庭井2丁目に鎮座する、大依羅神社です。 『延喜式』神名帳の摂津国住吉郡に、「大依羅神社」があります。 依網(依羅:よさみ)は『和名抄』にも見える地名で、当地(庭井・我孫子近辺)を遺称地とする摂津国住吉郡大羅郷から、河内国丹比郡依羅郷(松原市天美地区一帯)に及ぶ地域に比定されています。 『延喜式』は祭神を四座としており、 大己貴命、月読命、垂仁天皇、五十猛命と、 底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命、建豊波豆羅和気王との二説が有力です。 社頭の案内板には両方が書かれていました。 ほか、合祀された相殿神として、大山咋神、草津大歳神、建速須佐男神、奴能太比売神、奇稲田媛神、八桂御子神、素盞嗚命、素盞嗚命、があるといいます。 このうち、草津大歳神社と奴能太比売神社は式内社です。 『続後紀』承和十四年七月四日条には社殿を修造した上、官社としたことが見え、『三代実録』貞観元年正月二十七日条には従五位下から従四位下へ神階を進めたことが見えます。 また貞観元年九月八日条および元慶元年六月十四日条には、風雨について祈らしめるため遣使奉幣があったこと、元慶三年六月十四日条には神財を奉られたことが見え、朝廷から重く扱われたことがうかがわれます。 当地は仁徳紀四十二年九月条や皇極紀元年五月条にある依網屯倉が置かれたことで知られます。 祭神に挙げられる建豊波豆羅和気王を祖とすることが『古事記』にみえる依羅之阿毘古氏をはじめ、『姓氏録』には彦坐命後裔の依羅宿祢氏、饒速日命後裔の物部氏族依羅連氏、百済人の素禰志夜麻美乃君の後裔を称する渡来系依羅連氏など、開発の進展や屯倉の管理者の駐屯により、複数の豪族が本拠地を置いて繁栄しました。 境内の「庭井の跡」碑。 地名の庭井の由来になったもので、依羅井ともいった井戸があったそうです。 『摂津名所図会』にも載りますが、現在は埋まり、この碑により往時がしのばれます。 ↓末社の龍神社。 府立阪南高校のグラウンドにめり込んでいます。というより高校の敷地も、一部はかつて神社の境内地でした。 依網を本拠とした豪族たちの中で、最も上位にあったのが物部氏族の依網連です。 推古朝に物部依網連抱、ついで物部依網連乙等が大夫(マエツキミ・律令時代の参議にあ

【所縁の史跡】鎌足塚(大阪府)

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■ 鎌足塚  [地図] 大阪府茨木市西安威にある、将軍塚古墳です。鎌足塚の通称を持ちます。 新屋坐天照御魂神社からは東に700mほどの距離にあります。 大織冠神社として祀られています。 藤氏家伝の記述から、藤原鎌足の墓は最初に摂津の阿威にあり、後に大和の多武峯に改葬された、とする説がありました。 近世には、この古墳がその改葬前の墓にあてられ、毎年、京都の九条家から使者が来て、祭祀が行われていたそうです。 山頂を利用した円墳で、横穴式石室が露出しています。丸みのある花崗岩を積み上げたものです。 玄室の長さは44.5m、幅は1.71m、高さは2.4mあります。 6世紀の築造と見られています。 ここから2.5kmほど離れた阿武山古墳が注目を集めてからは、顧みる人も少なくなったようです。 大織冠神社の敷地内にある将軍山古墳の石室です。 古墳自体は、消滅し、石室だけが将軍塚の西隣りに移築保存されました。 将軍山古墳は、ここの南の丘陵端にあった4世紀後半の築造の古墳で、全長は約102m、後円部径は約76m、前方部幅は約40mの前方後円墳でした。 葺石のよく残る古墳だったそうです。 後円部の中央にあった竪穴式石室で、内法は長さ6.4m、幅1m、高さ0.8mあります。 壁に使われている板石は、和歌山県の紀ノ川流域のものといいます。 天璽瑞宝トップ > 所縁の史跡 > 鎌足塚

【所縁の史跡】新屋坐天照御魂神社(大阪府)

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  ■ 新屋坐天照御魂神社  [地図] 大阪府茨木市福井、日降山に鎮座する、新屋坐天照御魂神社(新屋神社)です。 JR茨木駅から、バスで行くことができます。 『延喜式』神名帳の摂津国島下郡に「新屋坐天照御魂神社」三座があり、そのうちの一座とされます。 崇神天皇の七年に、物部氏の祖の伊香色雄命が、天皇の命によって祭ったのが創祀といいます。 その後、神功皇后が三韓征伐にあたって、新屋川原で禊ぎの祓いを行い、凱旋後に皇大神の幸御魂・荒御魂を西の川上と東の川上に祀ったといいます。 市内の宿久庄と西河原にも同名の神社がある由来とされます。 祭神は、天照皇御魂大神と、天照国照彦天彦火明大神です。 神社の裏山一帯には、六世紀後半~七世紀初めにかけての古墳が三十基あまり群集し、新屋古墳群と呼ばれています。 また、紫金山古墳や青松塚古墳、将軍山古墳など古墳時代前期からの古墳が周辺に散在しています。 社殿は天保年間の改築だそうです。 伊勢神宮をはじめ、各種遥拝所が並びます。 天璽瑞宝トップ   >  所縁の史跡   > 新屋坐天照御魂神社