【先代旧事本紀】巻第十・国造本紀 - 現代語訳

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天孫・天饒石国饒石天津彦火瓊々杵尊あまにぎしくににぎしあまつひこほのににぎのみことの孫の磐余彦尊いわれひこのみことが、日向から出発され倭国やまとのくにに向かわれて、東征されたとき、大倭国で漁夫あまを見つけられた。側近の人たちに尋ねて仰せになった。
「海のなかに浮かんでいる者は何者だろうか」
そこで、粟の忌部首いみべのおびとの祖の天日鷲命あめのひわしのみことを遣わして、これを調べさせた。天日鷲命が戻ってきて報告した。
「これは、椎根津彦しいねつひこという者です」
椎根津彦を呼んで連れてきて、天孫はお尋ねになった。
「お前は誰か」
椎根津彦は答えて申しあげた。
「私は、皇祖・彦火々出見尊ひこほほでみのみことの孫で、椎根津彦です」
天孫は詔して仰せられた。
「私に従って、水先案内をするつもりはないか」
答えて申しあげた。
「私はよく海陸の道を知っていますので、道案内としてお仕えいたします」

天孫は、詔して椎根津彦を案内とし、ついに天下を平定された。
はじめて橿原に都を造り、天皇に即位された。
詔して、東征に功績のあった者を褒めて、国造に定められた。また、逆らう者は誅し、県主を定められた。
これが、国造・県主の由来である。

椎根津彦命を大倭国造やまとのくにのみやつことした。すなわち、大和直やまとのあたいの祖である。
剣根命つるぎねのみこと葛城国造かずらきのくにのみやつことした。すなわち、葛城直かずらきのあたいの祖である。
彦己蘇根命ひここそねのみこと凡河内国造おおしこうちのくにのみやつことした。すなわち、凡河内忌寸おおしこうちのいみきの祖である。
天一目命あまのまひとつのみこと山代国造やましろのくにのみやつことした。すなわち、山代直やましろのあたいの祖である。
天日鷲命を伊勢国造とした。すなわち、伊賀・伊勢国造の祖である。
天道根命あめのみちねのみことを紀伊国造とした。すなわち、紀河瀬直きのかわせのあたいの祖である。
宇陀県主の兄猾えうかしを誅した弟猾おとうかしを、建桁県主たけたのあがたぬしとした。
志貴県主しきのあがたぬし兄磯城えしきを誅した弟磯城おとしきを、志貴県主とした。

およそ三人の臣を選び遣わして、治めるに良いか悪いかを巡察して調べさせた。そのうえで、功績のある者を、その能力のまま国造にお定めになった。
逆らう者を誅殺し、その功績を計って、県主を定められた。

あわせて、百四十四の国に国造を任命した。



大倭国造
神武朝の御世に、椎根津彦命をはじめて大倭国造とした。

葛城国造
神武朝の御世に、剣根命をはじめて葛城国造とした。

凡河内国造
神武朝の御世に、彦己曽保理命ひここそほりのみことを凡河内国造とした。

和泉国司いずみのこくし
もとは河内国に含まれていた。霊亀二年、割いて茅野監ちぬのつかさを設置し、改めて国とした。もとは珍努宮ちぬのみやで治めたものである。

摂津国司せっつのこくし
法令を見ると、摂津職せっつしきとある。はじめは京師であった。桓武天皇の御代に、職を改めて国とした。

山城国造やましろのくにのみやつこ
神武朝の御世に、阿多振命あたふりのみことを山代国造とした。

山背国造やましろのくにのみやつこ
成務朝の御世に、曽能振命そのふりのみことを国造に定められた。



伊賀国造
成務朝の御世に、皇子・意知別命おちわけのみことの三世孫の武伊賀都別命たけいがつわけのみことを国造に定められた。
孝徳朝の御世に伊勢国に合併され、その後、天武朝の御代にもとのように割いて設置された。

伊勢国造
神武朝に、天降る神・天牟久努命あめのむくぬのみことの孫の天日鷲命を、詔して国造に定められた。

嶋津国造しまつのくにのみやつこ
成務朝に、出雲臣の祖・佐比祢足尼さひねのすくねの孫の出雲笠夜命いずもかさやのみことを国造に定められた。

尾張国造おわりのくにのみやつこ
成務朝に、天別・天火明命あめのほあかりのみことの十三世孫の小止与命おとよのみことを国造に定められた。

参河国造みかわのくにのみやつこ
成務朝に、物部連の祖・出雲色大臣いずものしこおおみの五世孫の知波夜命ちはやのみことを国造に定められた。

穂国造ほのくにのみやつこ
雄略朝に、生江臣いくえのおみの祖・葛城襲津彦命かずらきのそつひこのみことの四世孫の菟上宿祢うなかみのすくねを国造に定められた。

遠淡海国造とおつおうみのくにのみやつこ
成務朝に、物部連の祖・伊香色雄命いかがしこおのみことの子の印岐美命いにきみのみことを国造に定められた。

久努国造くぬのくにのみやつこ
仲哀朝の御代に、物部連の祖・伊香色男命いかがしこおのみことの孫の印幡足尼いなばのすくねを国造に定められた。

素賀国造そがのくにのみやつこ
神武朝の御世、はじめて天下が定められたときに、天皇のお供として侍ってきた人で、名は美志印命うましいにのみことを国造に定められた。

珠流河国造するがのくにのみやつこ
成務朝の御世に、物部連の祖・大新川命おおにいかわのみことの子の片堅石命かたがたしのみことを国造に定められた。

盧原国造いおはらのくにのみやつこ
成務朝の御代に、池田坂井君いけだのさかいのきみの祖・吉備武彦命きびのたけひこのみことの子の思加部彦命おかべひこのみことを国造に定められた。

伊豆国造
神功皇后の御代に、物部連の祖・天蕤桙命あめのぬほこのみことの八世孫の若建命わかたけのみことを国造に定められた。
孝徳朝の御世に駿河国に合併され、天武朝の御世にもとのように分けて設置された。

甲斐国造
景行朝の御世に、狭穂彦王さほひこのきみの三世孫の臣知津彦公おみしりつひこのきみと、その子の塩海足尼しおみのすくねを国造に定められた。

相武国造さがむのくにのみやつこ
成務朝に、武刺国造むさしのくにのみやつこの祖・伊勢都彦命いせつひこのみことの三世孫の弟武彦命おとたけひこのみことを国造に定められた。

師長国造しながのくにのみやつこ
成務朝の御世に、茨城国造の祖・建許呂命たけころのみことの子の意富鷲意弥命おおわしおみのみことを国造に定められた。

无邪志国造むさしのくにのみやつこ
成務朝の御世に、出雲臣の祖・二井之宇迦諸忍之神狭命ふたいのうがもろおしのかむさのみことの十世孫の兄多毛比命えたもひのみことを国造に定められた。

胸刺国造むさしのくにのみやつこ
岐閉国造きへのくにのみやつこの祖・兄多毛比命の子の伊狭知直いさちのあたいを国造に定められた。

知々夫国造ちちぶのくにのみやつこ
崇神朝の御世に、八意思金命やごころおもいかねのみことの十世孫の知々夫命ちちぶのみことを国造に定められ、大神をお祀りした。

須恵国造すえのくにのみやつこ
成務朝に、茨城国造の祖・建許侶命たけころのみことの子の大布日意弥命おおふひおみのみことを国造に定められた。

馬来田国造うまくだのくにのみやつこ
成務朝の御世に、茨城国造の祖・建許侶命の子の深河意弥命ふかがわおみのみことを国造に定められた。

上海上国造かみつうなかみのくにのみやつこ
成務朝に、天穂日命あめのほひのみことの八世孫の忍立化多比命おしたてけたひのみことを国造に定められた。

伊甚国造いじみのくにのみやつこ
成務朝の御世に、安房国造の祖・伊許保止命いこほとのみことの孫の伊己侶止直いころとのあたいを国造に定められた。

武社国造むさのくにのみやつこ
成務朝に、和邇臣わにのおみの祖・彦意祁都命ひこおけつのみことの孫の彦忍人命ひこおしひとのみことを国造に定められた。

菊麻国造きくまのくにのみやつこ
成務朝の御代に、无邪志国造むさしのくにのみやつこの祖・兄多毛比命の子の大鹿国直おおかくにのあたいを国造に定められた。

阿波国造あわのくにのみやつこ
成務朝の御世に、天穂日命の八世孫・弥都侶岐命みつろぎのみことの孫の大伴直大瀧おおとものあたいおおたきを国造に定められた。

印波国造いにばのくにのみやつこ
応神朝の御代に、神八井耳命かむやいみみのみことの八世孫の伊都許利命いつこりのみことを国造に定められた。

下海上国造しもつうなかみのくにのみやつこ
応神朝の御世に、上海上国造の祖の孫の久都伎直くつぎのあたいを国造に定められた。

新治国造にいばりのくにのみやつこ
成務朝の御世に、美都呂岐命みつろぎのみことの子の比奈羅布命ひならふのみことを国造に定められた。

筑波国造つくばのくにのみやつこ
成務朝に、忍凝見命おしこりみのみことの孫の阿閉色命あへしこのみことを国造に定められた。

茨城国造うばらきのくにのみやつこ
応神朝の御世に、天津彦根命あまつひこねのみことの孫の筑紫刀祢つくしとねを国造に定められた。

仲国造なかのくにのみやつこ
成務朝の御世に、伊予国造と同祖の建借馬命たけかしまのみことを国造に定められた。

久自国造くじのくにのみやつこ
成務朝の御代に、物部連の祖・伊香色雄命の三世孫の船瀬足尼ふなせのすくねを国造に定められた。

高国造たかのくにのみやつこ
成務朝の御世に、弥都侶岐命の孫の弥佐比命みさひのみことを国造に定められた。



淡海国造おうみのくにのみやつこ
成務朝の御世に、彦坐王ひこいますのきみの三世孫の大陀牟夜別おおたむやわけを国造に定められた。

額田国造ぬかたのくにのみやつこ
成務朝の御世に、和邇臣の祖・彦訓服命ひこくにぶくのみことの孫の大直侶宇命おおただろうのみことを国造に定められた。

三野前国造みののみちのくちのくにのみやつこ
開化朝に、皇子・彦坐王の子の八瓜命やつりのみことを国造に定められた。

三野後国造みののみちのしりのくにのみやつこ
成務朝の御代に、物部連の祖・出雲大臣命いずもおおみのみことの孫の臣賀夫良命おみかぶらのみことを国造に定められた。

斐陀国造ひだのくにのみやつこ
成務朝の御世に、尾張連の祖・瀛津世襲命おきつよそのみことの子の大八椅命おおやはしのみことを国造に定められた。

上毛野国造かみつけののくにのみやつこ
崇神朝の皇子・豊城入彦命とよきいりひこのみことの孫の彦狭嶋命ひこさしまのみことが、はじめて東方の十二国を治め平らげて、国造に封ぜられた。

下毛野国造しもつけののくにのみやつこ
仁徳朝の御世に、もとはひとつだった毛野国を分けて、上毛野・下毛野とした。豊城命の四世孫の奈良別ならわけをはじめて国造に定められた。

道奥菊多国造みちのくのきくたのくにのみやつこ
応神朝の御代に、建許侶命の子の屋主乃祢やぬしのねを国造に定められた。

道奥岐閉国造みちのくのきへのくにのみやつこ
応神朝の御世に、建許侶命の子の宇佐比乃祢うさひのねを国造に定められた。

阿尺国造あさかのくにのみやつこ
成務朝の御世に、阿岐国造と同祖・天湯津彦命あめのゆつひこのみことの十世孫の比止祢命ひとねのみことを国造に定められた。

思国造
成務朝の御世に、阿岐国造あきのくにのみやつこと同祖の十世孫の志久麻彦しくまひこを国造に定められた。

伊久国造いくのくにのみやつこ
成務朝の御世に、阿岐国造と同祖の十世孫の豊嶋命としまのみことを国造に定められた。

染羽国造しめはのくにのみやつこ
成務朝の御世に、阿岐国造と同祖の十世孫の足彦命たるひこのみことを国造に定められた。

浮田国造うきたのくにのみやつこ
成務朝に、崇神天皇の五世孫の賀我別王かがわけのきみを、国造に定められた。

信夫国造しのぶのくにのみやつこ
成務朝の御世に、阿岐国造と同祖・久志伊麻命くしいまのみことの孫の久麻直くまのあたいを国造に定められた。

白河国造しらかわのくにのみやつこ
成務朝の御世に、天から降った天由都彦命あめのゆつひこのみことの十一世孫の塩伊乃己自直しおいのこじのあたいを国造に定められた。

石背国造いわせのくにのみやつこ
成務朝の御世に、建許侶命の子の建弥依米命たけみよりめのみことを国造に定められた。

石城国造いわきのくにのみやつこ
成務朝の御世に、建許呂命を国造に定められた。

那須国造なすのくにのみやつこ
景行朝の御代に、建沼河命たけぬなかわのみことの孫の大臣命おおみのみことを国造に定められた。

科野国造しなののくにのみやつこ
崇神朝の御世に、神八井耳命の孫の建五百建命たけいほたつのみことを国造に定められた。

出羽国造でわのくにのみやつこ
元明朝の御世の和銅五年、陸奥・越後の二国から割いて、はじめてこの国を設置した。



若狭国造わかさのくにのみやつこ
允恭朝の御代に、膳臣かしわでのおみの祖・佐白米命さしろよねのみことの子の荒砺命あらとのみことを国造に定められた。

高志国造こしのくにのみやつこ
成務朝の御世に、阿閉臣あべのおみの祖・屋主田心命やぬしたごころのみことの三世孫の市入命いちいりのみことを国造に定められた。

三国国造みくにのくにのみやつこ
成務朝の御世に、宗我臣そがのおみの祖・彦太忍信命ひこふつおしのまことのみことの四世孫の若長足尼わかなのすくねを国造に定められた。

角鹿国造つぬがのくにのみやつこ
成務朝の御代に、吉備臣の祖・若武彦命わかたけひこのみことの孫の建功狭日命たけいさひのみことを国造に定められた。

加我国造かがのくにのみやつこ
雄略朝の御代に、三尾君みおのきみの祖・石撞別命いわつくわけのみことの四世孫の大兄彦君おおえひこのきみを国造に定められた。
孝徳朝の御代には、越前国に合併した。嵯峨朝の御世の弘仁十年に、越前国を割いて加賀国とした。

加宜国造かがのくにのみやつこ
仁徳朝の御世に、能登国造のとのくにのみやつこと同祖の素都乃奈美留命そつのなみるのみことを国造に定められた。

江沼国造えぬまのくにのみやつこ
反正朝の御世に、蘇我臣そがのおみと同祖・武内宿祢たけしうちのすくねの四世孫の志波勝足尼しはかつのすくねを国造に定められた。

能等国造のとのくにのみやつこ
成務朝の御世に、垂仁天皇の皇子・大入来命おおいりきのみことの孫の彦狭嶋命ひこさしまのみことを国造に定められた。

羽咋国造はくいのくにのみやつこ
雄略朝の御世に、三尾君の祖・石撞別命の子の石城別王いわきわけのきみを国造に定められた。

伊弥頭国造いみづのくにのみやつこ
成務朝の御世に、宗我そがと同祖・建内足尼たけしうちのすくねの孫の大河音足尼おおかわとのすくねを国造に定められた。

久比岐国造くびきのくのにみやつこ
崇神朝の御世に、大和直と同祖の御戈命みほこのみことを国造に定められた。

高志深江国造こしのふかえのくにのみやつこ
崇神朝の御世に、道君みちのきみと同祖の素都乃奈美留命そつのなみるのみことを国造に定められた。

佐渡国造
成務朝に、阿岐国造と同祖・久志伊麻命くしいまのみことの四世孫の大荒木直おおあらきのあたいを国造に定められました。


丹波国造たにはのくにのみやつこ
成務朝の御世に、尾張国造と同祖・建稲種命たけいなだねのみことの四世孫の大倉岐命を国造に定められた。

丹後国司
元明朝の御世の和銅六年に、丹波国を割いて丹後国を設置した。

但遅馬国造たじまのくにのみやつこ
成務朝の御世に、竹野君たけののきみと同祖・彦坐王の五世孫の船穂足尼ふなほのすくねを国造に定められた。

二方国造ふたかたのくにのみやつこ
成務朝の御世に、出雲国造と同祖・遷狛一奴命うつしこまひとぬのみことの孫の美尼布命みねふのみことを国造に定められた。

稲葉国造いなばのくにのみやつこ
成務朝の御世に、彦坐王の子の彦多都彦命ひこたつひこのみことを国造に定められた。

波伯国造ははきのくにのみやつこ
成務朝の御世に、牟邪志国造と同祖・兄多毛比命の子の大八木足尼おおやきのすくねを国造に定められた。

出雲国造いずものくにのみやつこ
崇神朝の御世に、天穂日命の十一世孫の宇迦都久努うがつくぬを国造に定められた。

石見国造いわみのくにのみやつこ
崇神朝の御世に、紀伊国造と同祖・蔭佐奈朝命かげさなあさのみことの子の大屋古命おおやこのみことを国造に定められた。

意岐国造おきのくにのみやつこ
応神朝の御代に、観松彦伊呂止命みまつひこいろとのみことの五世孫の十埃彦命とおあいひこのみことを国造に定められた。



針間国造はりまのくにのみやつこ
成務朝の御世に、稲背入彦命いなせいりひこのみことの孫の伊許自別命いこじわけのみことを国造に定められた。

針間鴨国造はりまのかものくにのみやつこ
成務朝の御世に、上毛野君と同祖・御穂別命みほのわけのみことの子の市入別命いちりわけのみことを国造に定められた。

明石国造
応神朝の御世に、大倭直と同祖・八代足尼やしろのすくねの子の都弥自足尼つみじのすくねを国造に定められた。

美作国造みまさかのくにのみやつこ
元明朝の御世の和銅六年に、備前国を割いて美作国を設置した。

大伯国造おおくのくにのみやつこ
応神朝の御世に、神魂命かむむすひのみことの七世孫の佐紀足尼さきのすくねを国造に定められた。

上道国造かみつみちのくにのみやつこ
応神朝の御世に、元からの領主・中彦命なかひこのみことの子の多佐臣たさのおみを、はじめて国造に定められた。

三野国造みののくにのみやつこ
応神朝の御世に、元からの領主・弟彦命おとひこのみことを、次いで国造に定められた。

下道国造しもつみちのくにのみやつこ
応神朝の御世に、元からの領主・兄彦命えひこのみこと、またの名を稲速別いなはやわけを国造に定められた。

加夜国造かやのくにのみやつこ
応神朝の御世に、上道国造と同祖で元からの領主の中彦命を、あらためて国造に定められた。

笠臣国造かさのおみのくにのみやつこ
応神朝の御世に、元からの領主・鴨別命かもわけのみことの八世孫の笠三枝臣かさのさいぐさのおみを国造に定められた。

吉備中県国造きびのなかつあがたのくにのみやつこ
崇神朝の御世に、神魂命の十世孫の明石彦あかしひこを国造に定められた。

吉備穴国造きびのあなのくにのみやつこ
景行朝の御世に、和邇臣と同祖・彦訓服命ひこくにぶくのみことの孫の八千足尼やちのすくねを国造に定められた。

吉備風治国造きびのほむじのくにのみやつこ
成務朝の御世に、多遅麻君たじまのきみと同祖・若角城命わかつのきのみことの三世孫の大船足尼おおふなのすくねを国造に定められました。

阿岐国造あきのくにのみやつこ
成務朝に、天湯津彦命の五世孫の飽速玉命あきはやたまのみことを国造に定められた。

大嶋国造
成務朝に、无邪志国造と同祖・兄多毛比命の子の穴委古命あなわこのみことを国造に定められた。

波久岐国造はくきのくにのみやつこ
崇神朝に、阿岐国造と同祖・金波佐彦命かなはさひこのみことの孫の豊玉根命とよたまねのみことを国造に定められた。

周防国造すおうのくにのみやつこ
応神朝の御世に、茨城国造と同祖・加米乃意美かめのおみを国造に定められた。

都努国造つぬのくにのみやつこ
仁徳朝に、紀臣と同祖・都努足尼つぬのすくねの子の男嶋足尼おしまのすくねを国造に定められた。

穴門国造あなとのくにのみやつこ
景行朝の御世に、桜井田部連さくらいのたべのむらじと同祖・迩伎都美命にぎつみのみことの四世孫の速都鳥命はやつどりのみことを国造に定められた。

阿武国造あむのくにのみやつこ
景行朝の御世に、神魂命の十世孫の味波波命うましははのみことを国造に定められた。



紀伊国造きいのくにのみやつこ
神武朝の御世に、神皇産霊命かむむすひのみことの五世孫の天道根命あめのみちねのみことを国造に定められた。

熊野国造くまののくにのみやつこ
成務朝の御世に、饒速日命の五世孫の大阿斗足尼おおあとのすくねを国造に定められた。

淡道国造あわじのくにのみやつこ
仁徳朝の御世に、神皇産霊尊の九世孫の矢口足尼やぐちのすくねを国造に定められた。

粟国造あわのくにのみやつこ
応神朝の御世に、高皇産霊尊の九世孫の千波足尼ちはのすくねを国造に定められた。

長国造ながのくにのみやつこ
成務朝の御世に、観松彦色止命みまつひこいろとのみことの九世孫の韓背足尼からせのすくねを国造に定められた。

讃岐国造さぬきのくにのみやつこ
応神朝の御世に、景行天皇の子・神櫛王かみくしのきみの三世孫の須売保礼命すめほれのみことを国造に定められた。

伊余国造いよのくにのみやつこ
成務朝の御世に、印幡国造と同祖・敷桁波命しきたなはのみことの子の速後上命はやのちのえのみことを国造に定められた。

久味国造くみのくにのみやつこ
応神朝に、神魂尊の十三世孫の伊与主命いよぬしのみことを国造に定められた。

小市国造おちのくにのみやつこ
応神朝の御世に、物部連と同祖・大新川命の孫の子致命おちのみことを国造に定められた。

怒麻国造ぬまのくにのみやつこ
神功皇后の御代に、阿波国造と同祖・飽速玉命の三世孫の若弥尾命わかみおのみことを国造に定められた。

風速国造かざはやのくにのみやつこ
応神朝に、物部連の祖・伊香色男命の四世孫の阿佐利あさりを国造に定められた。

都佐国造とさのくにのみやつこ
成務朝の御代に、長阿比古ながのあびこと同祖・三嶋溝杭命みしまのみぞくいのみことの九世孫の小立足尼おたちのすくねを国造に定められた。

波多国造はたのくにのみやつこ
崇神朝の御世に、天韓襲命あめのからそのみことを神の教えによって国造に定められた。



筑志国造つくしのくにのみやつこ
成務朝の御世に、阿倍臣と同祖・大彦命おおひこのみことの五世孫の日道命ひのみちのみことを国造に定められた。

筑志米多国造つくしのめたのくにのみやつこ
成務朝に、息長公おきながのきみと同祖・稚沼毛二俣命わかぬけふたまたのみことの孫の都紀女加命つきめかのみことを国造に定められた。

豊国造とよのくにのみやつこ
成務朝の御代に、伊甚国造と同祖・宇那足尼うなのすくねを国造に定められた。

宇佐国造うさのくにのみやつこ
神武朝の御代に、高魂尊たかみむすひのみことの孫の宇佐都彦命うさつひこのみことを国造に定められた。

国前国造くにさきのくにのみやつこ
成務朝に、吉備臣と同祖・吉備都命の六世孫の午佐自命うまさじのみことを国造に定められた。

比多国造ひたのくにのみやつこ
成務朝の御世に、葛城国造と同祖・止波足尼とはのすくねを国造に定められた。

火国造ひのくにのみやつこ
崇神朝に、大分国造おおきたのくにのみやつこと同祖・志貴多奈彦命しきたなひこのみことの子の遅男江命ちおえのみことを国造に定められた。

松津国造まつつのくにのみやつこ
仁徳朝の御世に、物部連の祖・伊香色雄命の孫の金連かねのむらじを国造に定められた。

末羅国造まつらのくにのみやつこ
成務朝の御世に、穂積臣と同祖・大水口足尼おおみなくちのすくねの孫の矢田稲吉命やたのいなきちのみことを国造に定められた。

阿蘇国造あそのくにのみやつこ
崇神朝の御世に、火国造と同祖・神八井耳命かむやいみみのみことの孫の速瓶玉命はやみかたまのみことを国造に定められた。

葦分国造あしきたのくにのみやつこ
景行朝の御代に、吉備津彦命の子の三井根子命みいねこのみことを国造に定められた。

天草国造あまくさのくにのみやつこ
成務朝の御世に、神魂命の十三世孫の建嶋松命たけしままつのみことを国造に定められた。

日向国造ひむかのくにのみやつこ
応神朝の御世に、豊国別皇子とよくにわけのみこの三世孫の老男おいおを国造に定められた。

大隈国造おおすみのくにのみやつこ
景行朝の御世に隼人と同祖の初小そおを平定し、仁徳天皇の御代に伏布ふしぬのおさとして国造に定められた。

薩摩国造さつまのくにのみやつこ
景行朝に、薩摩の隼人らを討ち鎮めた。仁徳天皇の御代に、長をあらためて直とした。

伊吉嶋造いきのしまのみやつこ
継体朝に、磐井いわいに従った新羅の海辺の人を征伐し、天津水凝あまつみずこりの後裔の上毛布直かみつけぬのあたいを造とした。

津嶋県直つしまのあがたのあたい
神武朝に、高魂尊の五世孫の建弥己己命たけみここのみことを、改めて直にした。

葛津立国造ふじつのたちのくにのみやつこ
成務朝の御世に、紀直と同祖・大名茅彦命おおなかやひこのみことの子の若彦命わかひこのみことを国造に定められた。

多褹嶋たねのしま (※ 以下脱文)