【所縁の史跡】 那閇神社(静岡県)

 

■ 那閉神社 [地図]

静岡県焼津市浜当目3丁目に鎮座する、那閉神社です。
虚空蔵山の南西麓に位置します。

『延喜式』神名帳の駿河国益頭郡に、「那閇神社」が見えます。

また、『駿河国神名帳』には、益頭郡に正五位下「奈閉天神」が見えます。

当地一帯には、『和名抄』の駿河国益頭郡十郷のうち、「物部郷」にあてる説があります。

『全国神社名鑑』や、境内の玉垣建設記念碑によると、継体天皇三年に物部氏の勧請により創祀されたものと伝えられているそうです。

境内参道には合計三つの鳥居があり、一番古いものには「文化十三年丙子九月十八日」と彫られていました。

江戸期には、鍋嶋大明神とも鍋崎明神とも称しました。
祭神は事代主神。相殿に大国主神を祀ります。

本殿は、覆屋の中です。

↓本社左手の稲荷神社です。

本社右手の青木神社と津島神社。
青木神社は、武田氏家臣の須藤左門を祀るといいます。天正六年~九年ころ、この地域は武田氏と徳川氏の抗争の最前線でした。

津島神社のさらに右手にある山ノ神。

虚空蔵山は別名を当目山ともいい、当目は遠目とも表記されることがありました。
これを海上の遠方から目印になった山の意味とする見解もあります。

当社と海との関係は深いようで、社殿の脇には、奉納された碇もありました。

狛犬。この左手の吽像の台座には「祈大漁満足」、右手の阿像には「祈海上安全」と彫られていました。

狛犬同様に、拝殿前の左右には、祭神の事代主神(恵比寿様)と大国主神(大黒様)の像が置かれています。

詳細不明ですが境内社。『式内社調査報告』には石神社があるとされているので、これでしょうか。

境内に入って左手にある常夜燈です。
「文政五年十一月」と記され、高さは約350cm。焼津市内の現存する燈籠では、最も大きく、市指定の文化財にもなっているようです。

神社の周辺の道は狭く、初めて訪れる人が車で乗りつけるのは、少し面倒かもしれません。
西側(瀬戸川当目大橋側)から海岸方面へ入り、浜当目海水浴場の駐車場に停めて参拝されるのがいいと思います。

南側から虚空蔵山の全景です。

海上100m先には神岩があり、山の東の海岸には御座穴があるそうです。

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