【所縁の史跡】物部神社(山梨県)
■ 物部神社 [地図]
山梨県笛吹市石和町松本に鎮座する、物部神社です。
国道140号線沿いにガソリンスタンドがあり、その脇の道に入ると社号標があります。
『延喜式』神名帳の甲斐国山梨郡に、「物部神社」があります。
祭神は、饒速日命、可美真手命ほか、物部氏の祖・十柱です。
そのため、物部十社明神とも呼ばれたといいます。
『三代実録』の元慶三年二月八日には、甲斐国の従四位上勲十二等物部神に、正四位下を授けたことが見えます。
下の写真中央の木々に覆われたところが物部神社。
東側(右側)に隣接するのが大蔵経寺です。
私が訪ねた2005年には、ちょうど寺の前で、発掘調査が行われていました。
いま地図を見るとパチンコ店が建っているので、遺跡を破壊する前の調査だったようです。
背後の大蔵経寺山一帯には、積石塚が多数あるようです。大蔵経寺山は御室山ともいい、物部神社の旧鎮座地だといいます。
■ 大石神社 [地図]
山梨県山梨市西に鎮座する、大石神社です。
祭神は、大山祇命。
『甲斐国志』に、「神号村名ノ起ル所ト云高峯ヲ物部山ト称ス 故二物部神社ナリト云」と見えます。
神社のある大石山は、物部山とも呼ばれたようです。
社記に、社号をもと物部神社と称していたが、後代、大石大神、岩手大明神等と呼ばれたとされます。
階段を登っていくと左手に大岩が見えてきます…しかし、これだけではなかったのです…
境内の案内板によると、創祀の時期は不詳、巨岩が磐座として信仰されていたのではないかといいます。
社殿の建立は、『甲州噺』(享保十七年)には岩手能登守信盛(武田信昌の孫)によるとあるそうです。
神体石になっている御影石は、高さ12メートル、周り68メートルにもなる巨大さ。
そのほか、烏帽子石、屏風石、影向石、浮舟石など多数の巨石が、それほど広くない山頂にひしめいており、独特の雰囲気をかもし出しています。
大石山(中央の丘)の全景
■ 大石神社 [地図]
山梨県甲州市塩山赤尾に鎮座する、大石神社です。
祭神は、大山祇命、可美真手命です。
「甲斐国志」(文久十一年)に、「社記云 物部神社ナリ」とされます。
社伝には、雄略天皇の時代に、海部直赤尾と物部兎代宿祢が勅を奉じて勧請したといいます。
物部菟代宿祢は雄略紀十八年秋八月十日条に、吉備海部直赤尾は同紀七年是歳条に、その名が見えます。
本殿の背後には、「大石」の名の由来になったと思われる岩が、いくつも並んでいます。