【所縁の史跡】 伊豆の国魂神(静岡県)

 

■ 諸口神社 [地図]

静岡県沼津市戸田に鎮座する諸口神社です。
戸田港と駿河湾を隔てる砂州状の半島に位置します。

『延喜式』神名帳の伊豆国那賀郡には「国玉命神社」が二社あり、その論社となっています。

社殿の正面は上写真の鳥居のとおり、港湾側を向いており、船を使うのが表参道のようです。下は半島側の道を通る裏参道の鳥居です。

祭神は、弟橘姫命。
弁天社ともいわれ、海の恵みをもたらす女神と見られてきたようです。
弟橘姫命は日本武尊の妃で、荒らぶる海の神を鎮めるため入水したことが記紀にはみえます。

国玉命神社にあてられることから、祭神は国玉命とする説もあります。

また、伊豆国神階帳の「もろき姫の明神」が当社の祭神とされています。


■ 国玉神社 [地図]

静岡県伊豆市小土肥に鎮座する国玉神社です。

こちらも伊豆国那賀郡の式内「国玉命神社」の論社。

境内にはかつて「子宝の松」と呼ばれる樹齢選数百年の大松があったそうですが、昭和の半ばには枯死し、現在の松は二代目なのだそうです。

祭神は大国主命。
社名から、国玉命や、伊豆国神階帳にみえる「国玉姫の明神」とも見られています。


■ 国柱命神社 [地図]

静岡県賀茂郡松崎町岩科に鎮座する国柱命神社です。
神明宮とも通称されているようです。

『延喜式』神名帳の伊豆国那賀郡に、「国柱命神社」があります。

祭神は国柱姫命。
伊豆国神階帳の「国原姫の明神」と同一視されます。

新野直吉氏は、伊豆国造について田方郡での在地性や律令時代における三島神社への関与を認めつつも、
「むしろ、『延喜式』などでは那賀郡内になっているが、もとはこの国造の支配下にあったはずの国玉命・国玉姫・国柱命神社などの方が、氏姓伊豆国造と関係深いものであろう。」
として、国玉命神社や国柱命神社は、国造が職掌のひとつとして行っていた、伊豆の国魂神の祭祀と繋がると見ているようです。

伊豆国造は『旧事本紀』国造本紀に物部氏同族とされますが、平城京で、物部の部民の末裔らしい那賀郡の人たちの名を記した木簡が、多数見つかっていることと関係するでしょうか。

境内社には、小鷹神社、茂山神社、琴平神社があります。
下写真は茂山神社です。

参考:新野直吉「国造の世界」 大場磐雄・下出積与編『古代の日本』第6巻中部


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