【所縁の史跡】高座結御子神社(愛知県)

 

■ 高座結御子神社 [地図]

愛知県名古屋市熱田区高蔵町に鎮座する、高座結御子(たかくらむすびみこ)神社です。
熱田神宮の境外摂社です。

『延喜式』神名帳の尾張国愛智郡に、「高座結御子神社」がみえます。
国内神名帳には、「従二位 高座結御子明神」あるいは「正二位上 高蔵名神」としてみえています。

『続日本後紀』承和二年十二月十二日条で日割御子神・孫若御子神とともに名神に預ったことがみえ、これら三神は熱田大神の御子であるとされています。

祭神は、高倉下命。
武甕雷神が神武天皇の危機を救うため、布都御魂剣を降臨させた際、仲介者となったことが記紀に伝えられる人物です。 『旧事本紀』では、尾張氏の祖である天香語山命と同一視されます。
社号との名前の類似が祭神にあてられた根拠ですが、熱田神を天香語山命の父である天火明命のことと解釈する説の影響もありそうです。
熱田神を日本武尊と見る説からは、仲哀天皇を祭神にあてる見方もあったようです。

社殿は第二次大戦で焼失したのを昭和三十八年に復興したもので、拝殿・祝詞殿・直会所・神饌所等が連結した造りになっています。 境内社には、鉾取社、稲荷社、新宮社、御井社があります。

付近は高蔵古墳群の分布地です。
大半が消滅していますが、境内に目立った墳丘の残る一基があります。

五世紀後半~六世紀前半ころは一辺10メートル前後の方形墳が多数築かれており、近くの断夫山古墳や白鳥古墳といった大型古墳の被葬者を、支えた階層の人びとが葬られていたと見られます。

高蔵一号墳(消滅)は1954年に調査されました。
直径約18メートル、胴張り複室構造の横穴式石室は全長10メートルあったそうです。
金環9点、ガラス製丸玉39点以上、ガラス製小玉121点、直刀1点、鉄族20点、須恵器・土師器等が出土し、六世紀後半に築かれ、その後追葬がされたようです。
鉄製釣針も1点出土しているのが興味深いです。

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