【所縁の史跡】村屋坐弥冨都比売神社(奈良県)
■ 村屋坐弥冨都比売神社 [地図]
奈良県磯城郡田原本町蔵堂に鎮座する、村屋坐弥富都比売神社です。村屋神社と通称されます。
『延喜式』神名帳の大和国城下郡に、「村屋坐弥冨都比売神社」が見えます。
「守屋神社」「森屋神社」などとも呼ばれたそうで、緑豊かな社そうは、県の天然記念物に指定されています。
祭神は、弥富都比売命、大物主命です。
弥富都比売命は、出雲国譲りのときに、大国主命(大物主命)が二心なき証しとして娶ったという、高皇産霊尊の娘・三穂津姫命のことであるとされています。
社地は、古代の官道・中ッ道に面します。
天武紀の元年七月条に、壬申の乱のとき、近江軍の将の犬養連五十君と廬井造鯨は、中ツ道を進軍し、村屋に駐屯したとあります。
この数日前、村屋の神は、神官に神がかって、「今、わが社の中の道から軍勢が来る。社の中の道を防げ」とのお告げをくだし、廬井造の軍の動きを予知したため、乱後、天皇は神階を上げて祀ったといいます。
社家・室屋氏は物部忍勝連の後裔を称したといい、創建に物部氏の関与をみる説があります。
物部忍勝連公は『旧事本紀』天孫本紀に、守屋大連の孫で、壬申功臣・物部(朴井)雄君連公の子として見えます。
社号のミフツヒメとは、御布都姫の意味でしょうか。物部氏の氏神であるフツの神に通じるものがありそうです。
↓境内の摂社・服部神社です。式内社に比定されています。
祭神は、天之御中主命、天之御鉾命です。
↓村屋神社です。
こちらも式内社に比定されています。
祭神は、経津主神・武甕槌神・比咩大神・天児屋根命の春日神と、大伴室屋大連、大伴健持大連です。村屋と室屋の音が似てるということなんでしょうか。
下の写真が、物部神社・市杵嶋姫神社です。
祭神は炊屋姫命と宇麻志摩遅命。物部氏の始祖とその母ということになります。
物部守屋大連を配祀しています。