【所縁の史跡】加富神社(三重県)
■ 加富神社 [地図]
三重県四日市市山田町に鎮座する、加富神社です。
『延喜式』神名帳の伊勢国三重郡に「加富神社」がみえ、伊勢国内神名帳に「賀保太神」がみえます。
その論社です。
祭神は、天饒速日命。
ほか、素盞嗚尊、豊受大神、誉田別尊、金山毘古神、大己貴神、倉稲魂神、保食神、天照大御神、伊弉冉尊、五男三女神、大山祇命、麓山祇命、中山祇命、市寸島比売命、豊石窓神、櫛石窓神、文屋宮田麻呂公、吉備真備公、伊予親王、橘大夫逸勢公、藤原広嗣公、崇道天皇、藤原大夫人、火雷神、天児屋根命、が合祀されています。
往古、当地は吉田ヶ原と称し、そこに十丁四方松杉の生い茂る地を加富森と称し、榊を立て神籬のしるしとし奉祀した。その後、森の真中に宮を建てて加富大明神と号した、といいます。
御巫清直『伊勢式内神社検録』は、当村の神官は秦氏で、秦忌寸の末裔を称し、『姓氏録』山城国神別にもみえる祖神(神饒速日命)を祀ったものと口伝されているとします。
境内社には稲荷神社がありました。
■ 加富神社 [地図]
三重県四日市市波木町に鎮座する、加富神社です。
こちらも式内「加富神社」の論社といわれます。
林の中にあり、静かなたたずまいです。
祭神は大日孁女貴命、天饒速日命、天児屋根命、品陀和気命、天穂日命、建速須佐之男命、金山毘古命、市杵嶋姫命、上筒之男命、中筒之男命、底筒之男命、大山祇神。
当地は『和名抄』にもみえる三重郡釆女郷の郷域内。
雄略記で天皇に「纏向の日代の宮」の歌を奉った伊勢国三重の釆女に所縁の地といわれます。
成務天皇の治世三十八年、釆女臣の祖神・天饒速日命を祀ったことに始まると称します。
一帯の豪族だった土師氏に崇敬されたと伝えます。
釆女郷内七ヶ村(波木・貝家・釆女・古市場・清水谷・南小松・北小松)の総鎮守とされ、「火の宮」「火宮明神」と通称されたそうです。
火の宮を「日の宮」として、饒速日命に関係すると考えられたようですが、比較的新しい解釈なのではないかと思います。