【所縁の史跡】為那都比古神社(大阪府)
■ 為那都比古神社 [地図]
大阪府箕面市石丸2丁目に鎮座する、為那都比古神社です。
『延喜式』神名帳の摂津国豊嶋郡に、「為那都比古神社」がみえます。
祭神は、為那都比古大神と為那都比古大神。
ほか、天照皇大神(神明社・大神宮社)、大山咋神(三王神社)、木花咲耶姫神(木本神社)、天児屋根命(春日神社)、火之迦具土神(愛宕神社)、菅原道真公(天満神社)が合祀されています。
当地を含む一帯は、仁徳紀三十八年七月条にみえる猪名県に含まれ、早くから王権の勢力が及んだ地域だったことが知られます。
また、新羅系渡来人を中心に組織された木工集団・ヰナベの居住地でもありました。
ヰナベの管掌者としては、『姓氏録』未定雑姓摂津国に為奈部首が「伊香我色乎命の六世孫、金連の後なり」とあります。京貫しているものでは、猪名部造が左京神別にみえ、やはり伊香我色男命の後裔を称します。
また『旧事本紀』天神本紀には、饒速日命に供奉し天降った五部人のひとりとして為奈部らの祖・天津赤占がみえ、梶取らとして仕えた為奈部らの祖には天津赤星がいたといいます。
船匠としてのヰナベを配下に持っていたことが、物部氏の伝承に影響を与え、祖神の饒速日命が磐船に乗って降臨する形態を取らせるようになったと見る説もあります。
徳川八代将軍吉宗が寺社奉行の大岡越前守忠相に命じて奉献したとする社号碑がありました。
■ ヨーガ岩 [地図]
箕面市如意谷にあるヨーガ岩です。医王岩の意で、薬師岩ともいうようです。為那都比古神社から西へ1kmほどのところにあります。
為那都比売神を祀る大婦天王社が明治四十年に合祀されるまでこの近くにあり、大宮と称されていました。
『摂津名所図会』には「播州静ヵ窟
石ノ宝殿の類也
この所も大己貴少彦名の二神生まれた地か」とみえます。
かつて神霊の依り来る磐座だったのではないかとも思わせます。