【所縁の史跡】波蘇伎神社(愛知県)

 

■ 天神社 [地図]

愛知県稲沢市南麻績町新井浦に鎮座する、天神社です。
名鉄津島線の青塚駅から、北東に1.2kmほどのところにあります。

『延喜式』神明帳の尾張国中嶋郡に「波蘇伎神社」がみえ、津田正生の『尾張国地名考』や『尾張神明帳集説乃訂考』によって、この神社を比定しようという説が述べられています。

「波蘇伎」は「へそき」に通じることから、鎮座地名の麻績に結びつけられたようです。

へそ(綜麻)はおだまきで、紡いだ糸を巻いてまとめたもの。
『式内社調査報告』をはじめ、これには否定的な見解もあるようです。

天神社の祭神は菅原道真公。
波蘇伎神社としては、社号との類似から大綜麻杵命(おおへそきのみこと)をあてるのが有力です。
大綜麻杵命は『日本書紀』に物部氏の遠祖とされる人物で、崇神天皇の母・伊香色謎命の父といいます。

尾張国内神明帳には、「波曽岐天神」としてみえます。

 


 

天神社から二〇〇mほど南の西郷前に、冨士社があります。

本殿は、近世の浅間信仰で崇敬された富士塚の上に建ちます。
この塚は古墳(円墳)を利用したものと見られています。

西へ1.5kmほどの、あま市美和町二ツ寺には前方後円墳の二ツ寺神明社古墳があり、比較的早くから栄えた地域だったことがわかります。
古代には、南側に海岸線が近かったともいわれます。

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