【所縁の史跡】跡部神社(大阪府)

 

■ 跡部神社 [地図]

大阪府八尾市亀井町に鎮座する、跡部神社です。
『延喜式』神名帳の河内国渋川郡に「跡部神社(路部神社とも)」があります。

この一帯が、『和名抄』の河内国渋川郡跡部郷にあてられます。
東側に現在も跡部の地名が残ります。

用明紀二年四月条に、蘇我馬子らと対立した物部守屋が大和を去り、兵を集めたとされる阿都の別邸も、当地跡部郷にあったと見られています。

跡部の地は、物部氏族阿刀氏の本拠と考えられます。

『姓氏録』左京神別の阿刀宿祢、山城国神別の阿刀宿祢・阿刀連、摂津国神別の阿刀連、和泉国神別の阿刀連、ともに石上朝臣同祖、神饒速日命の後裔を称します。

『旧事本紀』天孫本紀の物部氏系譜にみえる諸氏のうち、阿刀連はもっとも早くに現れます。
宇摩志麻治命の子の、味饒田命の後裔とされます。

阿刀氏の部民とみられるのが阿刀部です。
『旧事本紀』天神本紀には、饒速日尊に供奉して天降った天磐船の船長、天津羽原が跡部首の祖であるといいます。

祭神は阿刀連大神。
ほか、合祀された天照皇大神や八王子大神も祀られるようです。

阿刀氏の祖神を祭神にあてる説は近世以降有力で、具体的な神名として饒速日命が挙げられることもあります。

境内には、市指定の保全樹木として、クスノキやイチョウがあります。

跡部遺跡からは流水紋銅鐸が出土しています。神社から東へ1.5キロメートルほどの場所です。
古くから開けた地域だったことがわかります。

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