【所縁の史跡】味鋺神社(愛知県)

 

■ 味鋺神社 [地図]

愛知県名古屋市北区楠町味鋺に鎮座する、味鋺神社です。
名鉄小牧線味鋺駅から西南に700mほどのところです。

『延喜式』神名帳の尾張国春部郡に、「味鋺神社」がみえます。

創建の時期は不明。
境内の案内板によると、当地に進出した物部氏族が祖先を祀り、平和と繁栄を祈ったことに始まると考えられているようです。

祭神は、宇麻志麻治命、日本武尊、天照大神、別雷神、天児屋根命、品田別命、武甕槌命です。
尾張国内神名帳には、春日部郡に「正四位下 味鏡天神」がみえます。

近世には六柱の祭神だったため、六所明神とも通称されていたそうです。

神武天皇の時代、物部氏の祖の宇摩志麻治命(うましまぢのみこと)が、物部を率いて尾張国を平定し、この地に住んだことにちなみ、味鋺(あじま)の地名が生まれたといいます。

境内の西側に、末社が並びます。

州原社(菊理姫神)、津島社(須佐之男神)、秋葉社(火迦具土神)、斎宮社(天照大神)・稲荷社(倉稲魂命)、山神社(大山祇神)、天神社(本社祭神の御子神)、金刀比羅社(大物主神)、神明社・日神社(天照大神)、熱田社(日本武尊)です。

第二次大戦直前の昭和十三年までは、流鏑馬が行われていました。
神前より南の堤防まで馬で走り、一人三本の矢を東の空に向かっていることを数回繰り返すものだったそうです。
記念像が近年建てられています。

境内に移築保存されている「清正橋」は、元は南西100mにあったもので、名古屋城築城の際に加藤清正の命令で架けられたと伝えられます。

境内のムクノキやクスノキには保存樹に指定されているものがあります。

東に隣接して、かつて直径約20mの白山藪古墳がありました。味鋺保育園にそれを偲ぶ案内板があります。
古墳時代前期後半~中期初頭ころの古墳と見られ、出土した三角縁神獣鏡は、兵庫県の小見塚古墳や御旅山三号墳、福岡県の忠隈古墳のものと同笵といいます。

一帯には、二十数基の古墳が確認され群を成していましたが、現在は姿を消しています。
庄内川の中流域は、尾張でも比較的早くに開けた地域だったようです。

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