【所縁の史跡】須波伎部神社(京都府)

 

須波岐部神社 [地図]

京都府綾部市物部町横椽に鎮座する、須波岐部神社です。

『延喜式』神名帳の丹波国何鹿郡に、「須波伎部神社」が見えます。

神社の創建は、社伝によると大同二(807)年とされています。

鎮座地一帯は、『和名抄』にある丹波国何鹿郡「物部郷」に比定されます。

『三代実録』の貞観十一年十二月八日条には、丹波国の正六位上物部簀掃(すはき)神が、従五位下の神階へ昇叙したことが見えます。

祭神は大日孁貴尊とされています。

物部郷内に物部簀掃神として奉斎されていたものですから、本来は物部氏に縁故の神が祀られていたと考えられます。

『式内社調査報告』は、簀掃を掃部のことと解釈し、宮中とのつながりを想定します。

木造流造の本殿は、社伝によると、元和九(1623)年の建立だそうです。

神社から西400mほどの丘陵上には、全長35.5mの前方後円墳、須波伎東古墳があります。このほか一帯には石塚古墳群など、未調査のものがほとんどながら古墳が多く、早くに開けた地だったことがわかります。

写真は、本社の左隣りにある、摂社の広峯神社です。
兵庫県の広峯神社から勧請されたもので、祭神は素盞鳴尊。

境内摂社の天満宮(菅原道真公)と太田神社(倉稲魂神)。
本社からは一段低いところに位置します。

境内の一角に、神宮寺だった中谷山天慈院の薬師如来坐像が安置されているそうです。
室町時代中期を下らないものかといわれています。

背後の山々の緑も美しい神社は、高台に位置し、集落や田畑を見守るかのような風情がありました。

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