【所縁の史跡】貫前神社(群馬県)
■ 貫前神社 [地図]
群馬県富岡市一ノ宮に鎮座する、上野国の一の宮「一之宮貫前神社」です。
『延喜式』神名帳の上野国甘楽郡に、「貫前神社」があります。
水的神事や生弓矢生太刀神事などの、古態を残す特殊神事でも知られています。
総門の両側に立つ唐銅製燈籠は慶応元年に作られたもので、地元養蚕業者や、関東一円の生糸・絹商人らの献納によります。市の重要文化財に指定されました。
総門から階段を下ったところに位置する楼門。
本殿、拝殿とともに、国の重要文化財に指定されています。
総漆塗極彩色の社殿と、周りの木々の緑のコントラストが美しい神社だと思います。
祭神は、経津主神と姫大神です。
現在の安中市鷺宮の咲前神社付近で物部氏族磯部氏が奉斎していたものを、安閑天皇の元年に現在地へ移したと伝えられています。
現在の社殿は、徳川家光の命により、寛永十二年に造営されたものです。その後、元禄十一年に徳川綱吉の命で大修理が行われました。
上写真は摂社・抜鉾若御子神社。
上野国の国内神名帳にその名がみえます。この社殿は文化十二年の建立といいます。
末社・月読神社。
寛永十二年以前の本社拝殿を牛王堂として使用し、明治維新後は月夜見命を祀って月読神社に改めたそうです。
経蔵址です。
明治の廃仏毀釈のときに破却。所蔵の経典なども焼却されたそうです。
末社の日枝神社と、伊勢内宮、外宮。
■ 堂山稲荷古墳 [地図]
貫前神社から南東へ500メートルほど行ったところにある、堂山稲荷古墳です。
六世紀の築造で、墳丘全長が約50メートルの前方後円墳です。一ノ宮古墳群に属します。
■ 咲前神社 [地図]
群馬県安中市鷺宮に鎮座する咲前(さきさき)神社です。
上野国神名帳の碓氷郡に「従五位上 咲前明神」がみえます。
当地は貫前神社の創建の地として知られます。遷座の後も旧社地での祭祀が継続した、ということでしょうか。
境内案内板には、「白鳳元年三月、下総国香取神宮経津主命を鎮座」ともありました。
上写真は舞殿です。神楽が安中市指定の無形重要文化財となっています。
祭神は、貫前神社と同じく経津主神。
鎮座地名の「鷺宮」も貫前神社との関係から、「前宮(さきのみや)」に由来するといわれています。
境内社の絹笠神社・金刀比羅神社。
他に鷹巣神社や稲荷神社もありました。
拝殿の脇にある「根子石」です。
境内の小石に願を掛け、この岩の上に乗せると願いが叶うと称されているようです。