【所縁の史跡】物部明神(岐阜県)

 

物部神社(方県郡) [地図]

岐阜県岐阜市中西郷に鎮座する、物部神社です。

美濃国内神名帳の方県郡に、「従五位上 物部明神」が見えます。
この神を祀ったものと考えられています。

現在の祭神は、宇摩志麻遅命とされています。

当国に移住した物部氏により奉斎された古社であるとの社伝を持ちます。

旧社格は郷社で、戦後荒廃していたのを、昭和61年ころ、拝殿の再建等の整備が行われたそうです。


物部神社(本巣郡) [地図]

岐阜県本巣市上真桑に鎮座する、物部神社です。
八幡神社も合祀されていました。
元禄のころ始まった人形浄瑠璃が伝えられており、「でこ芝居の宮」とも通称されているそうです。

美濃国内神名帳の本巣郡に、「従五位上 物部明神」が見えます。
また、『和名抄』にある美濃国本巣郡「物部郷」も、当地に比定されます。

主祭神は物部十千根命。
その他、水波能売神、天照大御神、応神天皇、仁徳天皇、倉稲魂命、菅原道真公、熊野久須美神、速玉男神の八柱を祀るようです。

鎌田純一氏の『先代旧事本紀の研究』では、「物部守屋をまつる社と称する」とされます。
『新撰美濃志』に「物部大明神社は、当村の生土神にて祭神は弓削守屋大連なりと『埴生の涼風』に記せり」とあって、物部守屋を祭神にあてる説も存在します。

隣接する法暎寺観音堂です。
県指定の重要文化財だそうです。


十剣神社 [地図]

岐阜県大垣市上石津町細野の十剣神社です。

美濃国内神名帳の石津郡にみえる、「正六位上 物部補剣明神」を祀る神社に比定されます。
『濃飛両国通史』によれば、鎮座地名を「法剣谷」というそうで、「補剣」と関係しているのでしょう。
戸剣大明神とも称されたようで、これだと現社号に通じそうです。

祭神は、素盞嗚命と邇芸速日命です。

鈴鹿山系に属し美濃富士とも呼ばれる烏帽子岳を仰ぎ見る位置にあります。登山道入り口もすぐ近くです。一帯は、義賊熊坂長範伝説で知られるとか。

烏帽子岳は、頂上付近には奇岩・怪石も複数みられるそうです。


津島神社 [地図]

岐阜県安八郡安八町東結の津島神社です。

『濃飛両国通史』は、美濃国内神名帳の安八郡にみえる、「従五位下 物部明神」にあてます。

社伝には、一条天皇の時代に源頼光が牛頭天王を祀ったのが創建といいます。


大県神社 [地図]

岐阜県安八郡安八町森部に鎮座する、大県神社です。

現在の主祭神は、大宇祢奈命。
「大宇祢奈」は、倭姫命世紀にその名がみえ、近くの宇波刀神社が称する天照大神遷幸に結びつけられたものと見られます。

もと大定神社といい、昭和二年八月に県神社を合祀して大県神社へ改称しました。

物部氏の祖神を祀るとされ、この一帯から上記の津島神社や、墨俣町墨俣のあたりまでが『和名抄』にみえる安八郡物部郷に比定されます。

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