【所縁の史跡】飯豊比売神社(福島県)

 

飯豊比売神社 [地図]

福島県白河市大信豊地に鎮座する、飯豊比売神社です。

「延喜式」神名帳の陸奥国白河郡に、「飯豊比売神社」が見えます。
祭神は、飯豊比売神(飯豊媛命)。

隣接して飯土用の地名があり、社名・祭神名と関係すると考えられています。
大正十四年建立という下写真の社号標にも、「飯土用姫命」とありました。

かつては鹿島神社を称していたそうですが、明治以降は現社名で定着しているようです。

陸奥国風土記の逸文には、白川郡の飯豊山についての記述があります。

(1) この山は、豊岡姫命の忌庭である。
(2) また、飯豊青尊が物部臣をして御幣を奉らせた。そのため飯豊が山の名になった。
(3) 古老が伝えるには、垂仁二十七年に飢饉(飢え)があって多数の人が犠牲になった。そこで宇恵々山(うええやま)と言われるようになったが、後に改めて豊田といい、飯豊ともいう。

 「飯豊」の地名起源説話ですが、(1)だけでも一応その要件は満たし、(2)との重層・重複性を感じさせます。

とはいえ、(2)は当地に臣姓の物部氏が存在したことを示す貴重な史料です。
物部の設置が盛んに行われていた六世紀からの豪族なのか、後に移り住んできたのかははっきりしませんが、ここでの祭祀に関与していたことがわかります。

飯豊青尊(顕宗・仁賢天皇の姉とも叔母とも)への付会は、比較的時代が下ってから行われたものと見られます。

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